大道芸通信第277号

画像 深川江戸資料館主催
「江戸の物売りと大道芸」
大盛況で終わる

先月二十一日(土)に開催された深川江戸資料館主催イベント「江戸の物売りと大道芸」公演参加者は、四百名(総入館者数六五七名)という大盛況で終えることが出来ました。これも会員はじめ皆様ご協力の賜物と心より感謝致します。

今回もアンケートを取りましたので、結果と共にご報告致します。 (回答総数 五十三通)

アンケート結果

○年齢(実年齢を書かれた人を先に、同年代を後に若年者順に並べた)
九歳   一通
一〇歳     一通
一一歳     二通
三八歳     一通
三〇代 一通
四〇代     三通
五三歳     一通
五〇代     二通
六七歳     一通
六〇代  十三通
七五歳     一通
七〇代     六通
八二歳     一通
八〇代  一通
不詳 十八通

○男女比
男性     十八通
女性 三十三通
不詳 二通

○本日の催しを何で
 知りましたか(複数答)
知人友人   十七通
チラシ    十二通
江東区報    八通
出演者     四通
ポスター    四通
ホームページ  一通
その他     九通

○今回の催しについて
よかった   四十通
ふつう     〇
よくなかった  〇

○印象に残った演目(複数答)
(物売り)
①小鰭の鮨  三十通
②かりんと 二十五通
③とんがらし二十四通
④栄螺蛤公魚二十三通
⑤あさり  二十二通
   
(大道芸)
①胡弓流し 二十九通
①南京玉簾 二十九通
③虚無僧  二十五通
③すたすた坊主二十五通
⑤地獄極楽 二十三通
     
○今後このような催しがあ れば来たいと思いますか
ぜひ来たい 四十一通
わからない   八通
来ない     〇

○今後見たい演目、意見、 感想等の紹介
見たい演目)
・ガマの油売り(五〇代女)
・江戸時代の見世物口上(六〇代男)
・尺八以外の当時の楽器(六〇代男)
・ガマの油売り(六〇代男)
・一筆龍((いつぴつりゆう)六〇代男)
・正月の万歳(六〇代男)
・珍しいものを何でも(六〇代女)
・新内、一中節、(いつちゆうぶし )説教節等 (六〇代女)
・ガマの油売り、バナナの 叩き売り(不詳)

(意見、感想等)
・土日は仕事です。平日も あれば助かる(四〇代女)
・楽しませて戴きました。 ありがとうございます。
 姉弟、家族で参加と伺い ました。何とも微笑まし く上手に演じていたので 感心しました(六〇代女)
・来たいけれど無理(遠方住 まい)。今回はラッキーで した(愛媛六七歳男)
・すだれボランティアしたい と思います(七〇代女)
・大変楽しく拝見出来あり がとうございました。又 全ての演目を見たいと思 います(七五歳男)
・江戸弁の解説(八二歳男)

(メール等)
・企画を工夫して今後も頑 張って下さい(八〇代男)
・本日は「江戸の物売りと大 道芸」開催につきまして、 皆様の多大なご尽力を賜 り深く御礼申し上げます。
 おかげさまを持ちまして、 本日も多くの参加者の方に ご来館いただくことができ ました。本日全体での入館者は六五七名、その内「物 売り」参加者の方は四〇 〇名(一回目一五〇名・二回 目二五〇名)でした。(深川江戸資料館)

◎アンケート結果を前回、前々回と比較すると、以前やった演目は、大抵数や順位を落としている。飽きられたり、観客の眼も肥えたからだろう。真価を問われるのはこれからだ。

●一回目を撮影したケーブルテレビは、江東区広報番組として放送されます。
・日時:三月二十九日(日)~四月五日(土)
・番組名:江東ワイドスクエ ア「今週の話題」にて  一分半放映
・チャンネル:江東区内  一一ch

◎放映の一ヶ月後から一年  間、江東区役所HPにて 動画配信で見れます。
(トップページの「江東区ワ イドスクエア・江東区PR 動画」からお入りください)

江戸の珍商売(生業)③

○鮹坊主
上野山下を常場所とし、一挺の破れ三絃を曲引きして往来の人の足を留めて銭を貰ふ。此者至(自)然に口先とがり出て鮹の如し。故に鮹坊主と云って名高し。此者の得意為(なる)は富本(節)の浅間なり。

○ 竹からくり
竹からくりとは、細き竹を糸にてつなぎ、伸縮自由に制御せしを種々なる形に議して売歩行(うりあるく)ものなり。玉簾の(たますだれ )旧称。

○ ちょんがれ坊主
ちょんがれは橋本町又は万年町より出る願人坊主の内にて短き竹の先を割りて小銭をはき、たたき物を唱らし種々なる文句を作りて面白おかしく喋々と述べ立て戸毎に銭を貰ふ。乞食の類や。

○木戸芸者
毎年十一月、三芝居顔(見)世役者乗り込みの日、有名なる声色遣ひの輩、今日を曠と着かざり座の木戸口の高場に彳み(たたず )得意のこわいろを遣ひて興を満べしものなりといふ。

○ おはなし売り
天保(1830~1844)頃の狂句に、「おはなしを 売って帰れば 百の小目」
おはなしは富籤を利用せしものにて、先づ翌日突冨の番号(割註・湯島、谷中、目黒其の他処々にあり)大目を除き、大の小目、百の小目など都で廿二の数に縮めたるを小さき紙片に記して毎夕おはなしおはなしと早足にて売歩行(うりあるく)ものり。若し買う者有れば、手に持ちし紙片を渡し置。当たれば翌日銭を贈るといふ趣向なりとぞ。

○乞食のおいらん   
図の如き風の衣装を着し顔にはまだらに白粉を塗り、一枚の格子を持って戸毎に彳み格子の間より朱羅宇の長き烟管を出し、「一服おあがりなんし」などなまめきし言を吐いて銭を貰ふ者なり。

○砂定
砂定は蔵前に出て砂文字を書きて著名なり。明治前(~1868)まで蔵前にて見掛けたれども其の後は如何せし。今も砂文字書きあれども甚だ拙く、砂定に及ぶ者なし。
(都立中央図書館加賀本は左記のように書くとある)
蔵前の砂文字、浅艸蔵前に定見せといふ如き、晴る日は四時共に出て往来の足を止め、而して此の者の長所、砂を以て大地へ書画を自在に書るは最も巧みなり。今日も砂文字の輩、浅草公園などにて見受るなれども、此の砂定に及ぶ事はるかに遠し。『守貞漫稿』も左記の様に書く。
先年より三都にこれあり。白砂を嚢に(ふくろ )納(い)れ携へ、戸前の地に描く。白砂を握り、細く洩らして万物を描く。はなはだ妙なり。

○たぬき飴
たぬき飴は飴細工の内の一種のものにして、飴を自由に吹伸ばすこと妙なり。

『守貞漫稿』も左記の飴細工を載せるように、飴細工は元来葦(あし)や麦藁(むぎわら)の先に熱して柔らかくなった飴を丸めてつけ、反対側から息を吹き込んで作るものであった(昭和三十年代頃まで)。
 この息を吹き込むことが、「汚い、不潔」と云われるようになり、急激に姿を消した。
 その後、新粉(しんこ)細工の方式を取り入れ復活したのが、現在の飴細工である。左記は『守貞漫稿』が載せる新粉細工の図である。
「新粉」とは米粉である。これを水でこねて蒸し,鳥獣草木等の形をつくるのが新粉細工である。『毛吹草』(1645刊)が載せる左記の句が、新粉細工について書かれた最古とされる。
 しんこ馬も 今や引くらん    もち月夜
『守貞漫稿』が、「小児の弄物を専らとし、これを食す児は稀なり」と記すように、食べないのが普通であった。
キャラクターものが多い現在の飴細工を子供は欲しがる。しかし粘っこく歯にひっつくから、一度でも囓ったことのある子供は決して食べようとしない。新粉細工と同じ。
上記挿絵の内、『守貞漫稿』以外は全て『街の姿』より)


 大道芸の会会員募集 
「南京玉すだれ」や「がまの膏売り」など、日本庶民の伝統文化「大道芸」を一緒に覚えませんか。練習日は左記の通りです。
●第二七六回目 五月二十一日(木)
●第二七七回目 六月十七日(水(すい))

時間・午後七時ー九時
場所・烏山区民センター大広間

 また、歴史や時代背景を学び、或いは技術を向上させたい人のために、学習会や伝承会も行っています。
●日時 ・場所(随時)

 随時HP掲示板(ほーむぺーじけいじばん)等で通知

編集雑記
  江戸の物売りと大道芸の評判が良かったから、秋にも出演依頼があった。
 今、真面目に物売りや大道芸に取り組み伝承活動を続けているのは日本中で当会だけである。そのことに自信を持っていいし、地道な努力が漸く世間に認められたことを喜んでもいい。
 反面、見る方のレベルも上がるから、何時も同じでは飽きられる。全ての生業は出来なくとも、一つでも二つでも復活したい。その程度のの持ち合わせならある。

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